胆道閉鎖症と突き進むおかあのブログ

生後2ヶ月で難病と診断された私の今と今までの事

元旦那が死んだ事にいて

お盆なので思い立って。

元旦那が死んだ事について。

 

私は今シングルマザーです。

結婚していた時期もありましたが、息子が産まれて間もなく離婚をしました。

 

離婚の理由はこれと言ったひとつがあった訳ではなくて、最終的には泥沼化しすぎて根本的には何だったのか今となってはどうでもいい話だなと思っています。

 

表面的な事を言えば、DV、モラハラ、金銭トラブル、ドラッグ、そんな事で警察にはだいぶお世話になりました。

 

今の私からすれば、それもお互いの色んなタイミングが悪い所で起こってしまった事だと思っているので、彼を責めたりする気は微塵もありません。

 

私は彼の事を想っていたし、彼もそれは一緒だったと確信しています。

大切なのに上手くいかない。

そんな感じだったんだと思います。

 

渦中にいる時は私にとってはその状況があまりにも辛くて苦しくて彼を想ってるなんてとても言えたもんじゃなかったのですが、時間が経った今、それすら全部運命だったんだと思えます。

 

そんな元旦那が去年の秋に自殺しました。

離婚の時にだいぶ揉めたのもあり、離婚後は向こうのご家族とも疎遠だったので、私の元に知らせが届いたのはクリスマスの数日前でした。

 

私は2週間の仕事の研修を受けている真っ最中で、疲れ切って夜遅くに帰宅するとポストに彼のお母さんからの手紙が入っていて、その名前を見た瞬間に身体から一気に血の気が引く感覚になりました。

胸騒ぎがして良い知らせではないのはすぐに分かりました。

 

部屋に入って台所の蛍光灯だけ灯けて静かに封を開けると、必要最低限のすごく短い文章で元旦那の訃報が書かれていました。

伝えたい事があるのでご連絡頂けたら幸いです。

ワープロ打ちの文字は無機質で、これは何かの嫌がらせか冗談なんじゃないかと暫くその場でぼんやり座っている事しかできませんでした。

 

彼の亡くなった日の数日前にFacebookで彼からメッセージが届いてました。

離婚後も泥沼化は続いていて情緒不安定な彼から一晩中メッセージが鳴り続ける様な事もあって、連絡手段は殆ど拒否したり無視したりして避けていました。

そのFacebookのメッセージも読んだまま私は返しませんでした。

 

彼の最後の頼みの綱は私だった事。

度々来る一方的な連絡からそれは分かっていたけれど、私にはそれに応えることはできませんでした。

何とか自分の力で乗り越えて欲しい。

ただそう願っていました。

でも彼は死にました。

 

その状況で、彼のお母さんに何を話せばいいのか。責められるのだろうか。泣き付かれるのだろうか。

しばらくぼんやり悩んで、先延ばしにしても仕方がないと夜分にも関わらず電話をかけました。

 

出た声は小さく穏やかで、細くて華奢なお母さんの力なさが目に見える様なか細い声で、まずは連絡をくれた事にありがとうと、ゆっくり話し始めました。

話は、息子が遺産相続人に当たるので銀行口座の凍結をできるのが代理人に当たる私しかいなくお願いできないか、という内容でした。

 

それ以外の事は殆ど話さず、こちらも言葉に詰まって何も言えず、口座番号のやり取りだけをして5分足らずで電話を終えました。

 

もう一度手紙を見返して、これは現実だったんだ、そう思うと涙が溢れて来ました。

会わなくたって、いるといないんじゃだいぶ違う。

彼とは長い付き合いでした。ふと伸び切って固い髪の毛の感覚が手に蘇りました。

息子の父親はいなくなりました。

息子が産まれた時の写真にはまだ彼はいるのに。

私は10年ほど吸っていた煙草を箱ごとゴミ箱に投げました。

そして声を上げて泣きました。

 

それから2ヵ月くらいの間、今まで感じた事がない感情がぐるぐる私の中を巡りました。

 

彼の情緒不安定に振り回されるのはもう勘弁して欲しいとずっと思っていたし、いつか私を殺しに来るんじゃないかといつも怯えていたのも事実。

狭い家でドアがガタガタ鳴る度にいつもドキドキしていました。

 

歩くインターネットレベルの彼にずっとハッキングされていたし、メールなんていつも誰かに見られて当たり前だと思いながら何年も過ごして来ました。

遠隔操作で電話帳を消される事まであったので何かあった時に連絡できる人の心当たりは減っていたし、私は一生こうして彼の制約の中で生きていくものだと諦めてもいました。

 

それが、自由になった。

こんな事を言ってはいけないのかもしれないけれど、私は心底安心もしていました。

長年沈められてたドロドロの海の底から顔を出してもいいんだよ、そう言われた感覚。

 

でも本当に長い間そうやって過ごして来てしまったから不安も大きくて、一体この先どうしていいか分からない。

 

思い出があるものはとっくに全部捨ててるのに一瞬の表情なんかが頭から離れない。

 

色んな感情が交錯したまま2ヵ月程過ごしていると銀行の手続きが全部済んだという知らせが来て、何だかそれでああ、やっと全部終わったんだ、そう感じました。

それから彼の死をすっと受け入れる様になりました。

 

全ては運命なのかも知れません。

でも死んだら全部、本当に全部終わりじゃん、心からそれを感じました。

 

彼の事を思うと、死後の世界なんてなければいいとさえ思います。

不器用が過ぎてきっとたくさん苦しんだと思います。

どうかもう、安らかに眠っていますように。

 

 

 

いろの